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季刊誌「ハーネス通信」

2024年10月のバックナンバー

ボランティアリレーエッセイ(4) マイペースだけど優秀なPR犬との出会い(2024年秋号)

S__9044013.jpg「PR犬」―― そういう存在を全く知らなかったのですが、ある日、協会から「街頭募金活動などでお仕事をするPR犬の飼育ボランティアをしてみませんか?」と連絡がありました。PR犬としてのお仕事が維持できるようしっかり飼育管理すること、募金会場への送迎、私たち自身も募金活動に参加すること等、いくつかの条件がありましたが、「やります」と即答。ただ、耳が不自由な私たちでも飼育できるのだろうかと不安になり、面接でそのことを伝えると「問題ないですよ」と温かく返答していただき、本当に嬉しかったです。


 こうして1週間の体験生活を経て一緒に暮すことになったエルドは、4年前に飼っていたラブラドール・レトリーバー「ライ」とは全く違った性格で、最初はとても戸惑いました。担当職員に「エルドがPR犬に選ばれたのはどうしてですか?」と尋ねると「わがままなところは盲導犬には向かないけど、人懐っこくて穏やかな子だから」 その説明に思わず納得しました。

 エルドは確かにとってもマイペースですが、PR犬としてキッチリと仕事をこなしています。愛想がとても良くて、誰からも可愛がっていただいて、いい仕事ぶりを発揮し、家に帰れば当然のようにダラダラ...。でも、人間だってそうですよね?  この1年間、一緒に暮らしてみて最も気を遣ったのは、健康管理はさることながらワンツー(おしっことうんち)も含めたルーティンをきちんと守ることでした。エルドとの付き合い方に悩むこともありましたが、犬も人間と同じように様々な個性を持っていると感じました。

 とても素直で賢いエルドが盲導犬になれなかったのは残念ですが、PR犬として、そして引退した後も犬生を全うできるよう一緒に生きていきたいと思っています。

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