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もうどう犬について

くんれん・しごと
もうどう犬のこと

目が見えない・見えにくいって、どういうこと?

「目が不自由な人」といっても、まったく何も見えない人ばかりではありません。見えにくいけれど少し見えている、という人の方が、まったく見えない人よりも多くいます。

たとえば、まわりのようすがハッキリとは見えないけれど、ぼんやりと見える小さな穴からのぞいたみたいに、せまい一部分だけが見える目の前のものは見えないけれど、まわりはぼんやりと見えるその他、まわりがとぎれとぎれに見えたり、どちらか一部分だけが見える、といったような見えにくさもあります。また、その時の天気や部屋の明るさによっても、見えにくさがちがうことがあります。

見えなかったり、見えにくかったりすると、
どんなことができなくて困るのでしょうか。

その人が見えにくくなったのはいつからなのか、今までどんな生活をしていたかによって、できること・できないことはちがいます。ただ、「見えないこと」=「何もできない」というわけではありません。

例えば、見えなくても、物のおき方をくふうしたり、手の動かし方や指の使い方に気をつけるだけで、できることはいろいろあります。目の不自由な人が使いやすいようにくふうされた便利グッズもいろいろあります。

でも、まわりのようすが見えないと、目の見える人のようには手早くできないこともありますし、不便なこともあります。また、目の見える人の手伝いが必要な時もあります。

どんなやり方やどうぐがあれば、見えなくてもできるのか、どんな時にはお手伝いが必要なのか、みんなで話し合ってみてはいかがでしょうか?

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もうどう犬とは

もうどう犬は、目が見えない・見えにくい人が安全に歩くための手伝いをしています。

みなさんは、見えないで歩くって、どんなことか想像できますか?アイマスクをつけて歩いてみると、最初はこわくて足がすくんでしまうかもしれませんね。まわりのようすが見えないと、どうしてこわいのでしょうか?大きく分けると、次のような理由が考えられるのでしょう。

  • ・ なにかにぶつかりそうでこわい
  • ・ 階段とか段のあるところがこわい
  • ・ 自分がどこにいるのかわからないからこわい

どこにぶつかるものがあるのか、どこから階段が始まるのか、このようなことがわからないと、歩いていて安全かどうかわかりませんから、こわいと感じるのではないでしょうか。

目が見えない・見えにくい人は、外を歩く時、白いつえを使って歩きます。白いつえで、ぶつかりそうなものがどこにあるのか、段差がどこにあるのか、たしかめながら歩いているのです。

もうどう犬も、目が見えない・見えにくい人が安心して歩けるように、白いつえと同じことを盲導犬ユーザーに伝えているのです。

もうどう犬の種類

日本でよく使われているのは、ラブラドール・リトリーバーやゴールデン・リトリーバーなどの中型犬です。また、日本では頭数は少なくなってきましたが、ジャーマン・シェパードも盲導犬としてよく使われる犬種です。

しかし、この種類の犬ならすべてもうどう犬になるというわけではありません。これらの犬種の中でも、もうどう犬にむく性格の犬もいれば、むかない性格の犬もいます。

では、どのような性格の犬がもうどう犬に向いているのでしょう。おだやかな性格で、初めての場所でも落ち着いていられて、もうどう犬として生活することが楽しめるような犬がもうどう犬に向いています。

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もうどう犬の訓練について

もうどう犬の訓練は、大きく分けると二つあります。

一つは、人に注意を向け人の命令を聞く訓練(基本訓練)、そしてもう一つは、ハーネス(銅輪)をつけて安全に歩くための訓練(誘導訓練)です。どちらの訓練も「グッド、グッド」と犬をよくほめながら訓練していきます。

基本訓練

ヒール:人間の左横につきなさい / 
シット:すわりなさい / 
ダウン:伏せなさい / 
カム:来なさい / 
ウエイト:待ちなさい / 
というようなことを教えます。

誘導訓練

道の左側によって歩き、交差点に来たら止まる / 
ぶつかりそうなものをよける / 
階段など段差のあるところで止まる / 
というようなことを犬ができるように教えています。

1日の訓練時間は、あまり長くはありません。

訓練を始めたばかりのころは、5分とか10分とか短い時間の中でやっていきます。訓練が進んでくると、ハーネスをつけて歩く時間をもっと長くしたり、歩いている途中で、電車やバスに乗ったりします。

もうどう犬の訓練は、約1年間かけて行われます。その間に、その犬がもうどう犬にむいているかどうかチェックしていきます。もうどう犬としての訓練をうけた犬たちの中で、もうどう犬になるのは30~40%ぐらいです。

訓練を受けるのは犬だけではありません。その犬のユーザーになる目が見えない・見えにくい人も「共同訓練」という訓練を受けます。そうやってもうどう犬と安全に歩くために勉強や練習をしなければいけないのです。初めてもうどう犬をもつ人の場合、共同訓練は4週間かけて行います。

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もうどう犬ユーザーに出会ったら

もし、もうどう犬ユーザーを見かけたら、どんなことに気をつけたらよいのでしょうか。

まず、もうどう犬の横にいる目が見えない・見えにくい人のことを気にかけてほしいのです。

もし、もうどう犬ユーザーがまわりのようすがわからず困っているようだったり、交差点や駅のホームの上、工事中の道などあぶないところや、人混みの中や駅前広場など、目が見えない・見えにくい人にとって歩きにくいところを歩いている時には「何かお手伝いすることはありませんか?」などと声をかけてみてください。

時には、目の見える人がいっしょに歩く(「手引き」と言います)といったお手伝いが必要なときがあります。

もしユーザーから「手引きをお願いします」と言われたら、あなたの左ひじか左肩をユーザーに持ってもらい、ユーザーより少し前を歩いてください。

手引きをする時は、階段の始まりや終わりなどでは一度止まってそのことを伝えたり、ぶつからないようによけて歩いたり、あなたも、あなたが手引きをしている目が見えない・見えにくい人も安全に歩けるように注意してください。ユーザーが手引きを受けている間、もうどう犬はユーザーの横について歩きます。

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もうどう犬Q&A

ここでは、これまでに小学生からいただいた質問をいくつか、ご紹介します。

Q.もうどう犬はどうして目の不自由な人の行きたいところがわかるのですか?
A.もうどう犬がユーザーの行きたいところを知っていて、つれて行ってくれるわけではありません。ユーザーは行きたい場所へ行くための行き方を頭の中に入れておいて、もうどう犬の動きや、まわりから聞こえる音などを手がかりにして、どちらの方向に歩けばいいのかを考え、もうどう犬に指示を出して歩いているのです。
Q.もうどう犬はどうやって信号を見わけるのですか?
A.もうどう犬が信号を見て、止まったり渡り始めたりしているのではありません。ユーザーが車の走り出す音や周りのようすから信号が赤か青かを判断します。そして青だと判断すれば、ユーザーがもうどう犬に歩き出すように指示を出します。ですから、ユーザーがいつ青信号になったのかわからなかったら、もうどう犬に指示が出せないので、もうどう犬がいても道をわたりはじめることができません。
もし交差点で、信号を待っている目の不自由な人を見かけたときは、「信号が青になりましたよ」などと教えてくださると、目の不自由な人は安心して道をわたることができるでしょう。
Q.他にも、もうどう犬ユーザーが困ることはありますか?
A.一人一人のユーザーによって困ることは違いますが、やはり犬が病気になるととても困ります。そこで、動物病院で健康診断を受けたり、もうどう犬の健康には気をつかっています。
また、もうどう犬がいるために、お店の人に中に入ることを断られてしまったりすること、まわりにいる人がもうどう犬を勝手にさわったりすることも困ることの一つです。
Q.もうどう犬を連れてレストランやスーパーの中に入れるのですか?
A.もうどう犬が見えない・見えにくい人が安全に歩くための大切なパートナーで、ペットとはちがいます。ですから、ペット犬を連れて入れないような場所でも、ユーザーはもうどう犬を連れて利用することができます。
デパートやレストラン、ホテルなど、多くの人が利用する施設や場所で、もうどう犬を連れて入ることを断ってはいけない、ということは、2003年10月1日より全面施行された「身体障害者補助犬法」という法律により決められています。
また、もうどう犬ユーザーもレストランなどでは他のお客さまの迷惑にならないように、席についている間はもうどう犬を足元で静かに伏せさせておきます。
Q.なぜもうどう犬にさわったり、話しかけたりしたらいけないのですか?
A.もうどう犬は人が大好きで、人なつっこい性格です。声をかけられるだけでなく、じっと見つめられるだけでもそちらの方が気になって、しなければいけないことを忘れてしまうことがあります。ですから、もうどう犬には、見つめたり、さわったり、声をかけたりしないようにしましょう。
これは歩いている時だけでなく、ユーザーの足元で静かに伏せている時や、乗り物の中でも同じです。相手になってくれる人があらわれたら、もうどう犬はうれしくなってしまって、静かにしていなければいけないことを忘れてしまうかもしれません。
Q.おすもうさんみたいに大きな人でも、もうどう犬を使えますか?
A.もうどう犬は、ユーザーを引っ張って歩くわけではありません。ユーザーの横について歩きながら、 ぶつかりそうなものをよけたり、段差のあるところで止まったりしているのですから、おすもうさんのように力が強くても、また逆にとてもやせていて力のない人でも、そのために、もうどう犬が使えない、ということはありません。
Q.もうどう犬の世話は誰がするのですか?
A.もうどう犬にエサを与えたり、ウンチやおしっこをさせたり、ブラッシングをしたりといった犬の世話は、もうどう犬ユーザーが行います。いままで犬をかったことのない人でも、共同訓練中に自分で犬の世話ができるように練習します。
Q.もうどう犬はいくらぐらいするのですか?
A.もうどう犬は、目の不自由な人に無料で貸し出しをします。お金で買うのではありません。1頭のもうどう犬を育てるのに、約300万円の費用がかかりますが、その費用のほとんどは、「もうどう犬を育てるために使ってください」と多くの方々からいただいた募金や寄付金が使われています。
Q.犬が訓練を覚えられないときは、どうするのですか?
A.何回もくりかえし、ほめながら犬を訓練していきます。犬がなかなか覚えられないときは、なぜ覚えられないのか、その原因を考え、犬が何をしたらよいのかがわかるように教えていきます。
どうしても、何をしたらいいのか覚えられなかったり、してはいけないことをやめることができないときは、その犬がもうどう犬が向いているかどうかをよく考え、もうどう犬としては向いていないと考えられた時は、もうどう犬にするのはやめてペット犬としてその犬をかわいがってくださるご家庭におゆずりします。
Q.犬が命令をきかないことはありますか?
A.あります。たとえば歩き出すように命令を出しても、車が近づいてきていてあぶないときは、命令を聞かずに動きません。また、まわりにいる人が犬に話しかけたり、さわろうとしたりすると、犬は、そちらの方が気になってしまって、何か命令されているのに気がつかないこともあります。
Q.訓練で一番たいへんなことは、どんなことですか?
A.犬にもそれぞれ個性があります。その犬の個性を活かし一頭一頭に合わせたやり方を考え訓練していくことは、とても難しいことです。また、ユーザーになる人が盲導犬と安全に歩けるように、目が見えない・見えにくい人にわかりやすく指導することは、もうどう犬の訓練以上に難しいことがあります。
Q.小さな犬でも、もうどう犬になりますか?
A.小さな犬では、犬の動きがユーザーにわかりにくいですし、また、人の歩くスピードにうまくあわせて歩くことはむずかしいので、小さな犬はもうどう犬にはなりません。

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