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季刊誌「ハーネス通信」

2022年05月のバックナンバー

ハーネス通信特別リポート 「ご主人を救ったリタイア犬」(2022年新年号)
 ハーネス通信の読者様より、リタイア犬フェスタくんのびっくりエピソードが届きましたので取材しました。フェスタくんが暮らすリタイア犬ボランティアご夫婦のお宅は、京都市洛東の東福寺の近く、静かな住宅地にあります。


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ご主人を救った名犬フェスタ!
 昨年の3月15日、小雪がちらつく寒い日の夕方でした。林田さん宅近くの道路で遊んでいた子どもたちのところへ、フェスタくんがリードを引きずったまま走ってきました。フェスタくんの横にはだれもいません。犬だけが走ってきたのです。子どもたちのお母さんが近寄ろうとすると、フェスタくんは勢いよく走り出しました。『いつもはおっとりして走らないフェスタくんなのにどうしたの?』と、みんなが追いかけると、道端に林田さんのご主人が倒れていたのです。意識を失って、頭から血が流れていました。とにかく急いで119番。救急車が到着するまでの間、フェスタくんは倒れた林田さんのご主人の胸にかぶさるように臥せて、じーっと動きませんでした。救急隊員が来ると同時にさっと立ち上がり、ひとりで家へ戻っていったそうです。

林田さんの奥さんに聞きました
「ちょうど私が留守をしており、主人もその時の記憶がありません。だからあとで皆さんに聞いて本当にびっくりしました。フェスタくんはご近所さんたちに可愛がってもらっているから、皆さんすぐに気づいて助けてくださったんですね。フェスタくんが動かずに夫の体を温めていたことに、救急隊の人も驚いていたそうです。夫は脳梗塞だったのですが、そのまま入院して治療をし、無事に退院できました。フェスタくんのおかげで命拾いしたね、と言い合っています。」

さらに、後日談も
「入院した夫がリハビリを終え、半年ぶりに帰宅した時のフェスタくんの顔は忘れられません。ぎょっとしたように驚いていました。 もう戻らないと思っていたんでしょうか。笑ってしまいました! ちゃんと考えているんですねぇ」

 フェスタくんは今13歳。10歳まで盲導犬として活動していました。林田さんは、「フェスタくんは、人の言葉や気持ちが理解できる、本当にかしこい子なんです。リタイア犬を引き受けるのは勇気がいりましたが、今はフェスタくんのおかげで明るく楽しい日々です」とおっしゃいます。毎日自然の中をたっぷりお散歩させてもらい、たくさんの人に可愛がられているフェスタくんは、間違いなく幸せそうな顔をしていました。

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