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季刊誌「ハーネス通信」

2021年04月のバックナンバー

リタイア犬ボランティアさんインタビュー(2021年春号)

 コロナ禍だからリモート。リモートなら遠くても取材ができる・・・というわけで、今回は高知県で当協会のボランティアとして活躍してくださっている岡村さんを取材しました。

 小学生と中学生の4人のお子さんたち、そしてご夫婦の6人家族の岡村さんファミリーは、「リタイア犬ボランティア」。現在14歳半のリタイア犬バッキーを、愛情深くお世話くださっています。


1616491943493.jpgいくつもの縁が重なって
――リタイア犬は老犬ですから、弱っていく姿に接し、やがてはお別れの日も・・・ などお世話がたいへんなイメージですが、どうしてこのボランティアを選ばれたのですか?
岡村さん:理由は一つではないんです。元々、娘が心のよりどころとして犬を飼いたいと言っていて、その希望をかなえてやりたいという思いがありました。ペットショップより保健所の保護犬がよいのでは? と思って問い合わせたり、知り合いに相談したりしているときに、子どもたちが小学校で盲導犬について学んだこともあり、家族で話し合ってリタイア犬ボランティアに登録することに決めました。

――盲導犬のボランティアはパピーウォーカーが有名ですが、なぜリタイア犬に?
岡村さん:たまたま他協会のリタイア犬ボランティアをしている人に出会ったこともありますが、それ以上に、その頃、私の父が突然亡くなったことが影響しています。大切な父を看取ることができなかった無念と深い哀惜の思いが、リタイア犬ボランティアに向きました。

――なぜ当協会に?
岡村さん:いくつか問い合わせた中の一つが、関西盲導犬協会でした。対応してくださった大西さんが、「申し込み順ではなく、犬の幸せを一番に考えて、その子に最もふさわしいファミリーをマッチングして決めます」とご説明され、うちの家族について、子どもたちや亡くなった父のことまで丁寧にヒアリングしてくださいました。その姿勢が信頼できると思い、申し込みました。

――申し込んですぐにバッキーが来ることになったそうですね。
岡村さん:そうなんです。「ぴったりの子がいるからぜひ」と。びっくりしました。実は犬を飼うのが初めてでしたが、戸惑いは全くなかったです。世話の仕方は、バッキーがすべて教えてくれましたから。

いつも中心にバッキーが
――バッキーを迎えて家族は変わりましたか?
岡村さん:もうバッキーがいなかった頃が思い出せませんが・・・。そうですね、家の中のケンカが減りましたね。ケンカがはじまると、バッキーが「やめて」という感じで、すぐ間に入ってくるんです。だから平和になりました(笑)。それから、落ち込んでいる子がいると、なぜかすーっと寄り添うんです。空気が緩やかになりましたね。

――小学校へ盲導犬のお勉強のお手伝いに行かれたそうですね。
岡村さん:そうなんです。100名ほどの児童を前にバッキーが動かなくなったらどうしようと思いましたが、心配無用! 堂々と人前で歩く立派なバッキーの姿。いつもは家でだらだらしていますが、やっぱりバッキーは盲導犬だったんだなぁって、感動しましたよ。

――家族旅行も、バッキーと一緒ですね。
岡村さん:はい。元々よく旅行に行っていましたが、バッキーが来てからは一緒に楽しめる旅行を工夫するようになり、テントを買い、キャンプをはじめました。冬場も車で行けて犬も一緒に泊まれるプランを考えるのが楽しくて、昨年末には城崎温泉に行ってきました。

ユーザーだった蒔野さんの思い
ここからは、バッキーのユーザーだった、神戸在住の蒔野さんにもリモートに加わっていただきました。

――バッキーをリタイアさせるのは、さみしくなかったですか?
蒔野さん:バッキーと過ごした時期は、ちょうど私の仕事が忙しくなってあまりかまってやれず、申し訳なく思っていました。だから早めにリタイアさせて、元気なうちにリタイア生活を十分楽しんでほしかったんです。バッキーは陽気で人懐こい性格なので、遠くてもいいから家族が多くてにぎやかなご家庭に迎えてほしいと大西さんにお願いしました。

――リタイアしたバッキーに一度会ったそうですね。いかがでしたか?
蒔野さん:なんだかバッキーが遠慮していたみたいです。太っているのでは? と気がかりでしたが触ってみると逆に引き締まっていて健康そうで、良くしてもらっていることが分かりました。
岡村さん:バッキーは私に気兼ねしていたんでしょうね。しばらくしてようやく蒔野さんにあいさつにいきました。いじらしいです。

どこへいっても愛されキャラ
――バッキーって、どんな子でしたか?
蒔野さん:とにかく「かわいい」「ぬいぐるみみたい」って、みんなに声をかけてもらいましたね。女子高生にも大人気でした。いろいろな人から「バッキーちゃん、しっぽをゆらりゆらり振りながら歩く姿が、本当に楽しそう」とよく言われました。愛嬌があって、人の目をじーっと見つめるそうです。
岡村さん:それは今も同じですよ。バッキーにじーっと見つめられると、かわいいって思ってしまうんです。散歩中もよく声をかけられるし、人のことをちゃんと覚えていて、頭が良くて感心します。我が家で一番頭がいいのは、バッキーかも!

――バッキーという名前の由来は?
蒔野さん:名付け親は、バッキーを育てたパピーウォーカーさんで、その方が大のタイガースファン。元タイガースの「ジーン・バッキー選手」が由来です。実は私もタイガースが大好きで、バッキーと一緒に甲子園球場へ観戦にも行きました。バッキーはタイガースのユニフォームを着たんですよ。
岡村さん:そして、うちの一家も、タイガースファンなんですよ! すごいつながりだなぁと思います。

今の思い
蒔野さん:いいご家族に迎えてもらって本当によかったです。これからもよろしくお願いします。
岡村さん:来た頃に比べたらバッキーの体力は衰えましたが先々のことは深く考えていません。とにかく自然体で、たくさんの人に愛されているバッキーとの生活に感謝しながら、一日一日を楽しみます。

リタイア犬担当職員 大西よりひとこと
 私は担当として、一番に「犬の幸せ」を考えています。それは、「ユーザーさんが安心して次の盲導犬を持つこと」でもあります。だから相応しいボランティアさんを探すため、丁寧にヒアリングすることを心がけています。そしてマッチングした後は、ボランティアさんが安心して犬との生活を楽しめるように、できる限りフォローしています。
 バッキーは、思い切って遠方のボランティアさんにお願いしました。が、不思議なご縁にも恵まれた幸せなバッキーの姿を見て、正解だったと喜んでいます。岡村さんご一家にはこれからもますますお世話になりますが、協会として精一杯サポートしますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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