読み上げブラウザ用メニュー

季刊誌「ハーネス通信」

2019年11月のバックナンバー

盲導犬ユーザーと京都を歩く25 顔に触った。本当に長かった!(京都鉄道博物館)

P1020303.JPG2016年にオープンした話題の「京都鉄道博物館」。混雑ぶりも落ち着いたようなので、思い切って行ってみました。すぐそばをJR山陰本線や東海道新幹線などが走り抜け、大正時代に生まれた扇形車庫には歴代の蒸気機関車がずらり。とにかく見どころ満載です。

 


 「鉄道博物館」といえば、のりもの好きのチビッコがいっぱい? 鉄道ファンが行くところ? そんなイメージが強くて少し抵抗があったという森永さん。博物館のテーマは「見る、さわる、体験する」ということですが、はたして楽しめるでしょうか?

 応対して下さったのは、学芸員の山口由香さん。事前に希望を細かくリサーチして、森永さんにぴったりのプランを考えて下さいました。それでは、オーダーメードのスペシャルプランに、出発進行!

この開放感はまるで..
 入り口を入ってプロムナード。大きな屋根のある屋外スペースです。この開放感、何かに似ている・・・? そう、約100メートルの空間に列車が並び、まるで駅のプラットホームです。ここでは、一番に出迎えてくれたC62形蒸気機関車をたっぷりと触り、ひんやりした鉄の感触を味わいました。

納得! 長い顔!
 本館に足を踏み入れると、落ち着いた色のカーペットが敷き詰められていて、吹き抜けの広々としたくつろげる空間。ウーリーもほっとした様子です。
 ここでは感動の出会い。500系新幹線です。森永さんが見たことがあるのは、「0系新幹線」だけ。「顔が長いよ」と聞いてもピンとこなかった森永さんですが、「本当だ!! 長い!!」と感嘆の声を上げながらじっくり触りました。

目立たないけれど、かなり面白い?!
 ここは鉄道の補修を体験するコーナー。トンネルの壁をたたいての損傷具合を検査する体験です。四種類のコンクリートブロックをマレットというハンマーで叩いて音を比べます。「正常なブロック」と「ひび割れたブロック」の違いに、「ほお~」と森永さん。
 次は鉄道の架線に触れるコーナー。鉄道に電気を送るための、あの電線です。新品でピカピカの架線と、使ってすり減った架線を触り比べました。これはJR西日本がつくった博物館だからこそ提供できる正真正銘の本物。日常では絶対に出来ない貴重な体験です。

運転席体験コーナー
 運転席のカットモデルに座り、本物のレバーを動かしてみます。基本的にレバーは二本だけ。「もっと複雑だと思っていたけれど、意外にシンプルなんですね!」と森永さん。

黒く光った姿が素敵
 いよいよ歴史を感じる迫力の「扇形車庫」。SL乗り場からは、蒸気の音や勇ましい警笛が聞こえています。もっともポピュラーな「D51形蒸気機関車」をたっぷり触って大きさを体感しました。黒光りする姿は、なんとなくウーリーに似ているような...。

押してみたい!
 もう一つ、できそうでできない体験。踏切の非常ボタンを触りました。子どもでも届く低い位置にあり、分かりやすく押しやすい大きなボタンです。これも貴重です。

博物館で筋トレ?!
 いよいよ最後は、「軌道自転車」の体験。線路点検のときに、保線の係員が実際に使う自転車だそうです。「いってらっしゃい」と見送るウーリーを残して、山口さんと二人でペダルをこぐ...はずが、あれ?森永さん、ぜんぜんこいでない? 「太もも、きついですね~!」と山口さん、笑いながらも汗だくに? 学芸員って力仕事ですね~。

<すべてのコースを終えて、ちょっとおしゃべりしました>
(森永さん)今日はありがとうございました。意外に面白かったのはね、架線です! こんなにすり減るんだ~って。びっくりしました。触ってみると実感できますね。それにしても、いろんな種類の展示物があるんですね。私に楽しめるものもいっぱいありました。
(山口さん) 喜んでいただけて、よかったです。「京都鉄道博物館」はいわゆるアミューズメントパーク」だと思われがちですが、しっかりとした「博物館」なんです。博物館の役割は、資料を収集し、保存し、調査研究し、そして展示して楽しんでもらうこと。鉄道に関していろんな角度から知ってもらえるよう、工夫しています。だから一人一人に合ったコースで楽しむのがコツですよ。
(森永さん)それで今日は私にぴったりのコースをチョイス下さったのですね。確かに楽しめました。いつでも事前にお願いしたら、こんな対応をしてもらえるのでしょうか?
(山口さん)日時も含めて一度ご相談いただければと思います。今日はこちらも勉強になりました。展示物に点字説明がないことや、立体の触図説明・パンフレットがないことなどが気になっていますが、いかがでしたか?
(森永さん)もちろんあった方が良いでしょう。ただ、私自身は、今日みたいに私の見え方や視覚経験などに丁寧に配慮しながら案内していただく方がうれしいし、楽しめます。視覚障がい者といっても一人一人違いますから。まさしく「鉄道博物館を楽しむコツ」を体感できました。友だちにも勧めます! ありがとうございました。

 明るい館内、やわらかなカーペットフロア、説明文字が大きくて読みやすい...などなど、「京都鉄道博物館」は、子どもから大人まで楽しめるよう気配りがいっぱいです。ぜひどうぞ。
文/古橋悦子(フリーライター)

京都鉄道博物館
 http://www.kyotorailwaymuseum.jp/
 所在地:京都市下京区観喜寺町
 開館時間:10:00~17:30(入館は17:00まで)
 入館料金:一般1,200円 大学生・高校生1,000円 中学生・小学生500円 幼児(3歳以上)200円
 休館日:毎週水曜日(祝日は開館)・年末年始
 ※詳しくはホームページをご覧ください。

メニューを閉じる