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季刊誌「ハーネス通信」

2019年07月のバックナンバー

くみひも体験 あまたあれど 西陣工房 いと まれなり(盲導犬ユーザーと京都を歩く第24回) 

組みひも.png観光都市京都ならではの伝統工芸が簡単に作れると人気の「くみひも体験」。ネットでも検索すれば、実にたくさんの体験教室があることがわかります。そんな中、ユニークな取り組みをされている「西陣工房」さんで体験してみました。


 場所は、北野天満宮から徒歩10分、まさに「西陣」地域の中にあります。鉄筋造り3階建ての「西陣工房」は、就労継続支援B型事業所といって、障がい者の方々が通って作業をする施設です。
 ここの「くみひも体験」は、修学旅行生さんたちに人気とのこと。今日は森永さんのために、職員の山﨑さんがマンツーマンでやさしく教えて下さいました。
【まずは、色選び】
 体験するのは、江戸八つ組(えどやつぐみ)。8色の絹糸使い、その色の組み合わせによって、全く違う風合いになります。悩んだ森永さんですが、黒のつや毛が自慢の盲導犬のウーリーに似合うよう、黄色6本、赤1本、紺1本という黄色ベースの組み合わせに決めました。
【からくりいっぱいの道具】
 60本ずつ束になった絹糸は、「玉」と呼ばれる重りに巻かれています。四角いイスのような台の上で玉を順番に動かしていくことで、くみひもが少しずつ編み上がります。
 最初はおっかなびっくりの森永さんでしたが、だんだんリズミカルに作業が進みます。が、ふと油断した頃、「まった」の声がかかります。間違えないよういつも山﨑さんが見守ってくれているのです。
 というわけで、森永さんの手元から決して目線を外さない山﨑さんに質問してみました。
Q:ここは、障がい者の作業所なんですね。
A:はい。十代から六十代まで、30名弱の知的障がいのある人たちが働いています。くみひも以外に、西陣織、さをり織、糸繰りなどの作業をしています。
Q:このような施設で、伝統工芸の体験ができるというのは、珍しいですね。
A:場所もそうですが、実はこの作業所に通う障がいのある人たちが、体験教室の先生もしています。これが他にはないユニークな取り組みです。一人のお客さんに、一人の先生です。障がいのある方との交流を通して、完成の歓びも共有できる..そんな体験なんです。
Q:障がい者の方々は指導に慣れておられるのですか?
A:中にはしゃべるのが苦手な人もいますが、指導のための練習を重ねています。みんなくみひもは熟知しているので、間違いを見逃しません。とても和やかな雰囲気で、体験した人たちから感謝のメッセージがたくさん届いています。
【完成したストラップ】
 編み上がったくみひも27センチに、魔除けの力を持つという「オニキス」という黒い天然石をつけて、美しく仕上げて下さいました。約1時間で完成です。
<山﨑さんのひとこと>
 視覚障がいの方が体験にきて下さるのは初めてなのですが、森永さんの呑み込みが早く、複雑な仕組みを理解して手早く組んで行かれるので、びっくりしました。力の入れ具合が一定で、とてもいい仕上がりですよ。

<森永さん、いかがでしたか?>
 くみひも体験、苦手かなぁ?と心配していたのですが、黙々と・・・じゃなくて、おしゃべりしながらの手作業、意外に性に合っているみたいです! だんだん仕組みもわかってきて、楽しくなりました。褒めていただきましたが、もしかしたら目で見て惑わされないのが逆にいいのかもしれません。絹糸をたっぷり触れたのも、心地よくて。次はぜひ、事業所の利用者の方に先生をしていただきたいです!
 今回は、森永さんのにぎやかなおしゃべりだけが響く静かな室内の足元で、われ関せずとのびのびとくつろいでいたウーリー。最後に完成したストラップをブレスレットにしてもらい、記念撮影。漆黒のウーリーにばっちり映える、黄金色のくみひもが出来上がりました!が...ウーリーはただ眠かったようです..。
特定非営利活動法人 京都西陣会  『西陣工房』
〒603-8332 京都市北区大将軍川端町3番地
HP http://www.nishijinkoubou.com/    
電話・FAX 075-462-9101     メール info@nishijinkoubou.com
<アクセス>
嵐電北野白梅町駅から徒歩3分、北野天満宮から徒歩10分。
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