集中豪雨、竜巻、地震、逆走台風、異常高温、超大型台風・・・。予測できない自然を前に、圧倒され続けた今年の夏。いったいどうすれば?? すがるような思いで「京都市市民防災センター」を訪れました。
集中豪雨、竜巻、地震、逆走台風、異常高温、超大型台風・・・。予測できない自然を前に、圧倒され続けた今年の夏。いったいどうすれば?? すがるような思いで「京都市市民防災センター」を訪れました。
阪神大震災が発生した1995年9月にオープンし、今年で23年目の京都市市民防災センターの使命は「災害に強い市民づくり」。リアルな体験プログラムや、多彩な講習会など、毎日多くの個人や団体が利用しています。今日は京都市防災協会の南部雄二さんが、ちょっと緊張気味のウーリーと森永さんを案内してくださいました。
地震体験コーナー
最初は、「地震体験コーナー」。六畳ほどのダイニングキッチンに、震度4から震度7の横揺れ地震が襲います。体験の前に、部屋の隅々まで手引きで丁寧なレクチャー。「けっこう広くていいね! 住みたいわ~」と冗談を言う森永さんですが...。はたして体験は?
ドアがしまり、いよいよスタート。突然、部屋に設置されたテレビから緊急地震速報の緊迫したアナウンスが流れ、すぐに地震発生。指示どおり速やかにテーブルの下へ安全確保した森永さんですが、ついに最大震度7に達した時には、なぜか「わっはっは!」と謎の大笑い。外で待っているウーリーの方が心配そうです。
強風体験コーナー
次は風速32メートルまでの風の体験です。「風速32メートル」と言われても、ぴんときませんが...。
◆風速15メートル・・・傘をさすことができない。風に向かって歩きにくくなる。
◆風速20メートル・・・風に向かって歩けない、屋根瓦が飛ぶ。暴風警報の目安。
◆風速30メートル・・・つかまっていなければ飛ばされる。電柱が倒れ、走っているトラックが横転する。
とのこと。ちなみに、今年の台風21号の近畿での最大瞬間風速は、44メートル以上だったそうです。
体験した森永さん、「これはすごかった! 方向とか、全く分からなくなります!」と、興奮気味でした。
避難体験コーナー
最後は、ホテルでの火災から避難するという想定で、実際に煙が充満した通路を逃げる体験です。ポイントは、ハンカチで口を覆い、低い姿勢で煙を吸わないように進むこと。炎や煙は耐火扉で遮られても、煙は1秒に3メートルから5メートルという勢いで上へ拡散し、その煙に含まれる一酸化炭素を吸い込むと、酸素が吸えなくなって窒息、そのまま絶命してしまうそうです。
体験の煙は無害ですが、非常ベルが鳴り、館内アナウンスが響きわたると、緊張感が高まります。この体験はウーリーも一緒に参加しました。
体験後に大切なポイントをもう一つ。それは、「事前の確認」です。先に非常口や避難経路を確認しておけば、慌てず行動できるということですね。
災害グッズ展示について Q&A
Q:長期保存できる食品や水がいっぱいですね
A:わざわざ非常用のものを買いそろえるのはたいへんです。「ローリングストック方式」といって、普段から缶詰や水を安売りしている時に多めに買い、日常に使っては補充しておくのが楽ですよ。また常用薬がある場合は、薬名を控えておけば安心です。
Q:断水や停電時に便利なものは?
A:給水車から水をもらう時、コンパクトな水用の袋があると便利です。トイレが流せなくなるので、便器にかぶせて使う簡易トイレも役に立ちます。また情報を得る手段として、ラジオは必需品です。発電できる手回しラジオがあれば安心です。
※手回し充電器式ラジオ・ライト:本体にグルグル回す取ってがついていて、これを回して充電します。アタッチメントをつけると携帯電話も充電できます。
※非常用給水パック:大判のフリーザーバックのようなもので最大3リットルの水を入れて持ち運ぶことができます。
※簡易トイレ;断水またはトイレの水が流せない状況の時に使えます。大きな吸水シートが入っているビニール袋を便座にセットして使います。
Q:視覚障がい者が避難する時、どうしたらいいのでしょう?
A:京都市では、地域住民によって学区単位での避難所の開設・運営体制づくりが備えられつつあります。まずは日頃から、自分の地区の避難所の場所を調べておきましょう。そして、たとえば近所に住んでおられる消防団員さんに、ご自身の存在をアピールしておくことも考えてください。最近の消防団員さんは、女性も多くなりましたよ。
森永さん、いかがでしたか?
「強風体験が一番恐怖を感じましたね。私は歩く時、耳の感覚を頼りにしているので、方向感覚がなくなるのが怖いと思いました。それと、私は視覚を使わないので停電は怖くないんですけれど、非常時にまわりがパニックになると、自分も流されてパニックになりそうだと気付きました。日頃から避難経路を確認したり、近所の消防団員さんに会っておくなど、事前の備えがあれば、いざというとき落ち着くことができ、安全なんですね。」
南部様からのひとこと
「大切なのは、体験することです。見ただけ、聞いただけでは忘れてしまうけれど、体験したことは体が覚えています。それをきっかけに、一人一人が災害に強くなっていただく。それがこの施設のねらいです。視覚に障がいがある人、盲導犬ユーザーさんも、もちろん大歓迎です。どうぞいろいろ体験し、強くなって下さい。」
京都市市民防災センター
〒601-8445 京都市南区西九条菅田町7(国道1号線十条上ル東側) TEL:075-662-1849