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季刊誌「ハーネス通信」

2015年10月のバックナンバー

盲導犬ユーザーと京を歩く(11)~三十三間堂~
森永さんとウーリーの今回の訪問先は、「千手観音」や「通し矢」で有名な、京都東山にある「三十三間堂」。京都駅からバスで10分以内、多くの人が参拝に訪れていますが、実は百点満点をつけたくなるようなユニバーサルデザインいっぱいのお寺であることは、ご存じでしょうか。段差がなく、雨でも濡れずにすべて見学できる内部コースの整備、清潔で広いトイレ、視覚障がい者向けの展示、そして広々とした駐車場、他にも様々な工夫があります。今回は僧侶の清田さんに、知られざる魅力についてもたっぷり伺いました。


「世界一長い木造建築」を体感
 まずは本堂へ。下駄箱の前でウーリーも足を拭いてもらって、一緒にしずしずと絨毯の上を進みます。総檜作りで15メートルもある天井の高い本堂の中は、薄暗くてひんやり。高いひな壇にずらりと並ぶ、千体もの千手観音像の存在感は圧倒的。120メートル続く細い通路は観光客でいっぱいなのに、静寂が広がります。中央まで歩いたところで立ち止まり、ひときわ大きく威厳ある「国宝千手観音坐像」の前で静かに手をあわせました。

ふれあい観音
 長い本堂を南の端まで歩き、折り返して戻る途中に、視覚障がい者のために作られた、「本堂と千手観音像の模型」がありました。ここを建てた後白河法皇が亡くなって800年の記念行事で作られたそうで、本堂の模型は実物の100分の一。「え~、こんなに細長いの?」と驚く森永さん。実物の柱と柱の長さを触って比べながら、改めて大きさを実感しました。そして「ふれあい観音」では42本の手や、ハスの花の形をした台座まで触れながら、じっくり味わいました。

歩きたくなる・・・白い遊歩道
 次は外です。勇壮な本堂の外観はもちろん、美しい池や花々、鐘つき堂、桃山時代の土塀、そして有名な「通し矢」の舞台を見渡すことができます。本堂をぐるりと囲んだ白い石畳の遊歩道は、木陰やベンチもあって快適。ふとみまわすと、誰もが砂利道ではなく、遊歩道を歩いています。以前、ある車椅子の来訪者からの声を受けて作られた、この遊歩道。そのおかげで、最近は外の自然もゆっくりと楽しむ人が増えたそうです。

お坊さんに会えるお寺
 拝観の受付や、お札を作ったり、ご朱印を書いて下さったり、時には参拝者の質問に答えてくださるなど、お坊さんの存在が近くに感じられるのが、このお寺の隠れた魅力。「お尋ねになりたいことがありましたら、どうぞ、声をかけてみてください。日常とは一味違う何かを見つけていただけるかもしれません」とのことです。
 「私にとって、素晴らしいお寺です」と爽やかに語ってくださった清田さん、ありがとうございました。味わい深い三十三間堂、ぜひみなさん、訪れてみてください。

蓮華王院 三十三間堂(本坊:妙法院門跡)
〒605-0941 京都市東山区三十三間堂廻町657
TEL (075)561-0467
年中無休
拝観料:大人600円/大学生600円/中・高校生400円/小人300円(団体割引あり、障がい者の方は半額 視覚障がい者の方には点字資料あり /他詳細はHP等でご確認ください)

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