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季刊誌「ハーネス通信」

2013年12月のバックナンバー

訓練犬が盲導犬となるまで(2014年新年号特集)

盲導犬の訓練は、犬がだいたい1歳になってから始まります。今回は、犬たちがどのような訓練を受けて盲導犬になっていくのかをご紹介しましょう。

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1.約1ヵ月をかけて盲導犬としての適性を判断する
パピーウォーキングを修了し訓練センターに戻ってきた犬たちは、最初の1ヵ月間で、いろいろなチェックを受けます。たとえば、訓練士との関わりを喜ぶか、他の犬とすれ違う時にどんな行動をとるのか、食べ物やまわりの匂いに対してどれぐらいの関心を示すのか、大きな音を怖がらないか、などなど。まずは犬の様子をよく観察するのです。
また、健康診断も行います。足の関節の検査、目の検査、皮膚の状態などから健康上、問題がないかどうかを調べます。
この期間の中で、盲導犬としての適性があると判断された犬は「訓練犬」として本格的な訓練が始まります。訓練犬となった後も、「盲導犬としての適性」を持っているかどうか、訓練中や犬舎での生活ぶりを慎重に観察していきます。
「盲導犬にはならないほうが良い」と判断された犬は、ペット犬として受け入れてくださる一般家庭にお譲りします。(「キャリアチェンジ」(進路変更)と呼んでいます。)

2.訓練の始まり
盲導犬としての訓練には、大きく分けて「基本訓練」と「誘導訓練」があります。
「基本訓練」では、「シット(座れ)」「ダウン(伏せ)」「ウェイト(待て)」「カム(来い)」といった基本的な動作を犬に教えます。この訓練は、人と犬のコミュニケーションをとるための基礎となるもので、訓練が進んでいっても継続して行っていきます。
「誘導訓練」では、盲導犬のシンボルであるハーネス(胴輪)を付けて、視覚障がい者と安全に歩くために必要な作業を犬に教えます。
①周囲のことに気を散らさずに歩くこと
②道路の左端に寄って歩くこと
③交差点に来たら停止し、横断歩道の中を真っ直ぐに歩くこと
などが犬に教える作業の内容です。
誘導訓練が始まったばかりの頃は、車の往来の少ない住宅街などの静かな環境を訓練場所に選びます。

3.訓練のステップアップ
訓練が進むにつれ、訓練場所も少しずつ変えていきます。例えば、ペット犬が多く飼われている住宅街や、にぎやかな町並みなど、いろいろな道路事情の中で、犬が誘導作業を確実に行えるように訓練していきます。
そして、
①歩道の段差でのとまること
②横断歩道に誘導し、安全に横断すること
③障害物を安全に避けて歩くこと
④階段やエスカレーターの安全な上り下り
といったような作業を教えていきます。

4.さらに訓練が進むと
①繁華街のような人や車の往来の多い環境の中でもこれまでに覚えた作業をきちんとすること
②人や自転車、車といった動いている物に接触しないような行動がとれること
③バスや電車などの公共交通機関を安全に利用できること
など訓練の内容もさらに難しくなっていきます。
このように様々な訓練を進めていく中で、訓練犬はそれぞれの段階ごとにアイマスクを着けた訓練士によって、作業の正確さ、指示したことに対する反応、作業への意欲や落ち着きなどのチェックを受けます。

5.日常の生活ぶりもチェックします
また、犬は歩行の作業だけでなく、日常の生活ぶりからも「盲導犬としての適性」をもっているかどうか、引き続きチェックを受けます。

6.視覚障がい者との訓練に入ります
ここまでの段階に進む訓練犬は、訓練を開始した犬のおよそ3割程度です。そして最終段階に進んだ訓練犬は、その犬の主人となる視覚障がい者との「共同訓練」に入ります。この共同訓練の過程を修了して初めて「盲導犬」となるわけですが、この共同訓練については、また別の機会にご紹介したいと思います。お楽しみに。

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