盲導犬を知る
盲導犬の普及と活躍
日本と世界の盲導犬普及の違い
国内の視覚障がい者数約27万人に対して、実際に活動している盲導犬ユーザーの数は786人です(2025年3月末現在)。明らかに少ないというのは分かりますが、どのくらい少ないのでしょうか?下の表は、「盲導犬普及率(人口100万人あたりの盲導犬ユーザー数)」を国別にあらわしたものです。
- 各国の盲導犬普及率
(2025年3月現在) - 盲導犬普及率:人口100万人あたりの盲導犬ユーザー数(人)

これを見ると一目瞭然、欧米の国々とは大きな開きがあることが分かります。特にイギリスとは、10倍近い差をつけられています。日本がイギリス並みの普及率があるとしたら、盲導犬ユーザーは1万人を超えているわけです!盲導犬の数だけではありません。日本では、視覚障がい者が盲導犬を申し込んでからお渡しするまでの待機期間は約2年ですが、イギリスではたったの3ヶ月です。このように、日本と欧米諸外国では、大きな開きがあるのです。
では、何がそんなに違うのでしょうか?それには、いろいろな要因が考えられると思います。
たとえば、歩行環境の違い。欧米では歩道の幅が広く、歩車道がはっきりと区別されている地域が多く、歩きやすい環境にあります。また、運転者の歩行者に対する意識も高く、視覚障がい者が道を横断しようとしていると自動車は必ず停止するようです。その点、日本の場合では、道が狭く、歩車道の区別のない道路や自動車の交通量が多いなど、視覚障がい者にとって歩きにくい道路環境になっています。
住宅面でも、日本は玄関で靴を脱ぎ、和室での生活が基本という家屋も少なくありませんが、欧米では土足が基本。また、犬に対する意識も、「犬と暮らす」というより「犬を飼う」という意識がまだまだ根強くあります。このような文化の違いも、少なからず影響しているのではないでしょうか。
また、盲導犬との生活を始めるために必要な共同訓練の期間、仕事を休むことができず、盲導犬をもちたくてももてない人もいます。盲導犬がいることで就職を断られてしまったり、施設の利用を断られてしまうこともあります。このような社会的な理解の遅れも一因にあげられるでしょう。
育成面での課題もあります。「犬が盲導犬になるまで」のページでも書きましたが、産まれた子犬が盲導犬になるかどうかは、90%以上生まれ持った性格(遺伝子)にかかっています。つまり、繁殖の質が高ければ、盲導犬育成の効率は伸びるのですが、優秀な繁殖犬の確保はなかなか難しいのが現状です。最近では、海外の盲導犬育成団体からの協力を得て、優秀なオスの繁殖犬の凍結精子を輸入し日本で人工授精をするなど、さまざまな試みがなされています。
アジアの中のニッポン
アジアの国々の中で、日本は盲導犬事業の歴史がもっとも長いと言えます。アジアでは他に、韓国、台湾、中国などの国々で盲導犬の育成が行われています。日本に比べ、盲導犬の歴史の浅い国々では、当然のことながら、盲導犬ユーザー数は、まだまだ少ないのが現状です。
しかし、韓国や台湾では、盲導犬の同伴拒否を禁止した法律の中に違反した場合の罰則規定があったり、盲導犬候補の子犬や訓練犬も公共交通機関や公共施設も利用できるなど、日本よりも進んでいる面もあります。
現在、日本の複数の盲導犬育成団体と、韓国、台湾、香港の盲導犬育成団体は、アジア・ガイドドッグ・ブリーディング・ネットワーク(AGBN)という組織を立ち上げ、良質な盲導犬育成のため繁殖面で協力関係を築いています。今後は、さらに協力関係を深め、アジア、世界という視点を持つことが、日本の盲導犬事業にも求められていくのではないでしょうか。
あなたの街の盲導犬
あなたの住んでいる地域で、盲導犬ユーザーを見かけたことがありますか?下の表は、都道府県ごとの盲導犬普及率(視覚障がい者人口のうち盲導犬ユーザーが占める割合)をグラフにしたものです。全国で平均すると、盲導犬ユーザーは視覚障がい者の0.24%です。
貴方の地域はどうでしょうか?盲導犬の普及にも地域格差があることが分かりますね。全国どこでも、盲導犬を持ちたいと思う方に出来るだけ早く盲導犬に関する正しい情報を提供できるようにしかければなりません。そのためには皆さんのお力やお知恵を借りなければいけない部分もあります。ぜひ、ご協力宜しくお願い致します。
- 都道府県別の盲導犬普及率
(2024年3月末現在) - 盲導犬普及率:視覚障がい者人口のうち盲導犬ユーザーが占める割合(%)
| 北海道 | 0.28 |
|---|---|
| 青森県 | 0.17 |
| 岩手県 | 0.15 |
| 宮城県 | 0.35 |
| 秋田県 | 0.27 |
| 山形県 | 0.22 |
| 福島県 | 0.34 |
| 茨城県 | 0.30 |
| 栃木県 | 0.18 |
| 群馬県 | 0.26 |
| 埼玉県 | 0.34 |
|---|---|
| 千葉県 | 0.18 |
| 東京都 | 0.25 |
| 神奈川県 | 0.35 |
| 新潟県 | 0.39 |
| 富山県 | 0.16 |
| 石川県 | 0.40 |
| 福井県 | 0.27 |
| 山梨県 | 0.66 |
| 長野県 | 0.35 |
| 岐阜県 | 0.16 |
|---|---|
| 静岡県 | 0.37 |
| 愛知県 | 0.24 |
| 三重県 | 0.17 |
| 滋賀県 | 0.32 |
| 京都府 | 0.09 |
| 大阪府 | 0.21 |
| 兵庫県 | 0.21 |
| 奈良県 | 0.29 |
| 和歌山県 | 0.13 |
| 鳥取県 | 0.21 |
|---|---|
| 島根県 | 0.44 |
| 岡山県 | 0.21 |
| 広島県 | 0.26 |
| 山口県 | 0.41 |
| 徳島県 | 0.28 |
| 香川県 | 0.37 |
| 愛媛県 | 0.23 |
| 高知県 | 0.21 |
| 福岡県 | 0.16 |
| 佐賀県 | 0.16 |
|---|---|
| 長崎県 | 0.08 |
| 熊本県 | 0.09 |
| 大分県 | 0,19 |
| 宮崎県 | 0.22 |
| 鹿児島県 | 0.19 |
| 沖縄県 | 0.19 |
| 北海道 | 0.28 |
|---|---|
| 青森県 | 0.17 |
| 岩手県 | 0.15 |
| 宮城県 | 0.35 |
| 秋田県 | 0.27 |
| 山形県 | 0.22 |
| 福島県 | 0.34 |
| 茨城県 | 0.30 |
| 栃木県 | 0.18 |
| 群馬県 | 0.26 |
| 埼玉県 | 0.34 |
| 千葉県 | 0.18 |
| 東京都 | 0.25 |
| 神奈川県 | 0.35 |
| 新潟県 | 0.39 |
| 富山県 | 0.16 |
| 石川県 | 0.40 |
| 福井県 | 0.27 |
| 山梨県 | 0.66 |
| 長野県 | 0.35 |
| 岐阜県 | 0.16 |
| 静岡県 | 0.37 |
| 愛知県 | 0.24 |
| 三重県 | 0.17 |
| 滋賀県 | 0.32 |
|---|---|
| 京都府 | 0.09 |
| 大阪府 | 0.21 |
| 兵庫県 | 0.21 |
| 奈良県 | 0.29 |
| 和歌山県 | 0.13 |
| 鳥取県 | 0.21 |
| 島根県 | 0.44 |
| 岡山県 | 0.21 |
| 広島県 | 0.26 |
| 山口県 | 0.41 |
| 徳島県 | 0.28 |
| 香川県 | 0.37 |
| 愛媛県 | 0.23 |
| 高知県 | 0.21 |
| 福岡県 | 0.16 |
| 佐賀県 | 0.16 |
| 長崎県 | 0.08 |
| 熊本県 | 0.09 |
| 大分県 | 0,19 |
| 宮崎県 | 0.22 |
| 鹿児島県 | 0.19 |
| 沖縄県 | 0.19 |