季刊誌「ハーネス通信」
2016年07月のバックナンバー
- 訓練棟「木香テラス」が完成しました!(ハーネス通信2016年夏号特集)
去る4月24日(日)、待望の新犬舎:訓練棟(通称「木香(もっか)テラス」)の竣工式が行われました。当日は、盲導犬育成団体関係者や行政、木香テラス建設にあたりご協力くださった団体の代表者様をお招きしました。亀岡市長はじめ多くの方々にご祝辞を頂戴した後、テープカットが行われ、ついに待望のお披露目となりました。
旧犬舎は、今から30年前の1988年に建てられましたが、残念ながら老朽化が進んでいました。亀岡は湿度が高いため、冬は底冷えし、夏は蒸し暑く、コンクリート造の犬舎は、快適とはいいづらいものでした。また、万が一の災害に備えた安全な犬舎の必要性や、訓練士から新しい訓練方法の提案も上がっていたことをきっかけに、2020年の完成を目指していましたが、幸い多くの個人・団体様のご寄付やご協力により、当初の目標よりも2年も早く実現することができました。新訓練棟「木香テラス」は、玄関を入るとその名の通り木の良い香りに包まれ、杉材の廊下は、ぬくもりを感じることができます。建物に入っただけで不思議と心が落ち着き、癒しの空間となっており、いわゆる犬舎というイメージからは想像できない、ゆったりとした室内空間が広がっています。中央部分には、薪ストーブを配し、寒い冬から犬たちを守ってくれることでしょう。また、建物の一部にロフトを作ることによって、犬たちの避難場所も確保することができました。これは、集中豪雨で近くを流れる川の水位が上昇し何度か避難勧告を受けた経験から取り入れました。木香テラスで、訓練犬は、盲導犬になるために実際の生活に近い形で訓練や経験を積んでいきます。犬にとっても人にとっても、リラックスできる質の高い生活環境を確保したことで、新しい形の盲導犬育成が可能になりました。我々にとってもチャレンジとなるこの方法は、国内でもほぼ初となる取り組みですので、しっかりとした育成結果を出し、国内はもとより、海外の盲導犬育成者たちに発信していきたいと思います。また、木香テラスの建設にあわせて本館1階のトイレと2階居室の改修も行いました。1階のトイレは男女共用だったものを男女別に、また多目的トイレを増設しました。2階居室は、室内にバス・トイレを設置しましたので、トイレに行くのにわざわざ廊下を横切らなくてもいいようになりました。自然豊かな亀岡の地に建てられた木香テラス。地域や一般の方々により深く盲導犬事業を知っていただく啓発の場として、また盲導犬育成をご支援くださる方々とのコミュニケーションの場としても活用していきたいと考えています。これからの木香テラスと我々の成長を引き続きご指導、応援いただきますようどうぞよろしくお願い申し上げます。木香テラス見取り図西側通路: 天然木の見学者用通路。犬の様子がよく見えます北側事務スペース:広々としたスペースで人と犬が一緒に過ごせます。薪ストーブで冬もぽかぽか~。東側シャンプー室、グルーミング室:ステンレスシンクとシャワーの2タイプで犬たちのシャンプーができます。エアコンもあり快適に作業できます。シャンプーした犬をすぐ隣の部屋で乾かせます。犬を湯拭きするためにお湯が出る流しが一台と汚物便器が設置されています。南側排便所:排便所は3ヶ所あります。それぞれ汚物便器が設置されています。南側2階(犬の緊急時避難スペース):災害時の犬の避難空間。大きな窓から室内に明るい光がさしこみます。