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季刊誌「ハーネス通信」

2016年01月のバックナンバー

犬の心を知る~2016年新年号特集~
誰もが犬の心を知りたいと望んでいることでしょう。
 残念ながら、犬は言葉を使って話すことはできませんが、全身を使った「ボディーランゲージ」で自分の気持ちや感情を表しています。このボディーランゲージを正確に読み取ることが、犬と上手にコミュニケーションを図る第一歩です。
 犬のボディーランゲージの1つに、カーミングシグナルがあります。カーミングシグナルとは、犬がストレスを軽減したい時などに発するシグナルです。
 



まず、代表的なものをいくつかご紹介しましょう。
○顔や目線をそらす
 相手に対して敵意がないことを伝えるサインです。また、ストレスを感じたり、不安な気持ちを感じている場合にも見られる行動です。
○口元や鼻先を舐める
 緊張や不安でストレスを感じており、自分を落ち着かせようとしています。
○あくびをする
 高ぶった気持ちを抑えたり、相手の興奮を鎮めたりするときに用いるシグナルですが、ストレスや不快感を感じていると見られる行動です。
○地面の臭いを嗅ぐ
 興奮や不安を抑制し、自分を落ち着かせようとしています。また、相手を落ち着かせるために地面の臭いを嗅ぐこともあります。
○体や頭を振る・体を掻く
 興奮した気持ちを落ち着かせたり、不快感やストレスを表明するときに用いられます。また、自分の緊張状態をほぐすために見られる行動です。

 このように、カーミングシグナルから、犬の気持ちを読み取ることができます。このカーミングシグナルを見て、犬が不安や緊張を感じていることが分かれば、私たちはその原因となるものを取り去ったり、克服させてあげることが可能になります。

犬の不安や緊張を取り除くために
 まず、1つに、体の一部分だけ観察するのではなく、顔の表情や、耳の動きや位置、尻尾の動きや高さ、体の重心や緊張度合いなど、犬の体全体の動きや様子を考慮しなければ、犬の心を知ることに繋がらないということです。たとえば、先に挙げた「あくび」は、犬がストレスを感じたときに見られるカーミングシグナルですが、不快なときだけでなく、興奮した後や集中した後にも見られます。また、ストレスとは全く逆に「心地良い」と思っているときにあくびをすることもあります。このように、あくびという1つの行動だけでは、単純に犬の気持ちを判断することはできません。全体の状況を見ながら、他のボディーランゲージを総合して犬の心を読むことが求められます。
 次に、犬の心を知るためにさまざまな部位のボディーランゲージをよく観察して考えることになりますが、ボディーランゲージを見ることに気をとられて「褒める」ことを怠らないようにしましょう。犬は環境や状況だけでなく、人間の行動にも確実に反応しています。犬に良い行動(人間にとって望ましい行動)が見られたときは、褒めるタイミングを見逃さないことです。人間の褒めるという行動が、犬に「人間が何を欲しているのか」を理解させることに繋がります。そして、犬自身が自分のした行動に自信を得て、さらには人間をより信頼するようになります。それが、犬の心を知ったうえでのコミュニケーションであり、犬との信頼関係を築くコツでもあります。
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