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季刊誌「ハーネス通信」

2013年12月のバックナンバー

盲導犬ユーザーと京を歩く~法輪寺~

14.新年号.jpg今回は、十三まいりで有名な「嵯峨の虚空蔵(こくうぞう)さん 法輪寺」に行きました。「石を投げればお寺に当たる」と言われるほどお寺が多い嵐山でも、法輪寺さんは別格。創建は平安京より古く、あの渡月橋は元々「法輪寺へ参詣するための橋」だったとのこと。響きのいいお声の藤本高仝(こうぜん)住職が、分かりやすく丁寧にご説明下さいました。


「京都嵐山 法輪寺にて 仏心に触れるひととき」

振り返ってはいけない! のはどうして?
Q:有名な「十三まいり」は、珍しいですね
A:今は珍しいですが、昔の成人式ですから、かつては一般的でした。数えの十三歳、干支が一巡して戻る歳に祝う、通過儀礼です。子どもと大人の服装が全く異なる時代、その日のために、時間をかけて大人の衣装を準備して祝います。単なる成長感謝ではなく、当時は家業や家事などしっかりと大人の仕事を担うのですから、とても大切で厳かな儀式です。今は嵐山が桜で美しい時期4月13日あたりを中心に、全国から何万人もの方々がお参りになります。

Q:渡月橋で振り返ってはいけないという話を聞きますが
A: 渡月橋は元来、渡月橋を含めてお寺の境内です。十三まいりは智恵をいただくお参りですから、橋を渡り切る前に振り返ると、「いただいた智恵がお寺へ返ってしまう」と言われています。これは「大人になれば、もう子どもには戻れない」という意味でもあります。実際、慣れない正装に身を包んだ十二、三歳くらいの方が、100メートル以上ある橋を一心に前を向いて歩くのは、緊張します。皆さん、この経験は大人になっても心に残るようです。

境内には動物がいっぱい!?
Q:盲導犬のユーザーさんに、ひとことどうぞ
A:お寺にもいろいろありますが、ここは歴史のある祈祷寺です。どなたでも歓迎していますので、どうぞ盲導犬と共においでください。お参りの時、本殿前に下がっている鳴らしものは、「鰐口(わにぐち)」と言います。神社の鈴とは違い、ばんばんと音を出すことで「眠っている自分の心を起こす」という意味がありますので、静かに心を整えてお参りください。

Q:境内にいくつも動物の置物がありますね。触っていいのですか?
A:ひつじさん、牛さん、寅さん、どれでもどうぞ! 長い石段を登って来られたところで、最初にお出迎えするのが「ひつじさん」です。「こんにちは、これから仏様にご案内しますね」という意味でお祀りしています。またここの仏様「虚空蔵菩薩」は、丑寅年生まれの方の守り本尊なので、むかって右に寅、左に丑が座っているのです。

なぜか全身真っ赤な、びんずるさん!?
Q:本堂の前の赤い仏様は、みなさん触っておられますね。
A:ビンズルさんは、「なでぼとけ」です。関西に多く珍しくはありませんが、大酒のみで人殺しもする悪人が、お釈迦様の説法を聞いて改心し、仏道に入ったという伝説のお坊さんです。特別に人の痛みや苦しみが分かる仏様だから、自分の体で悪いところを触り、ビンズルさんの同じところを触って拝むと癒されると言われています。手が届かなければ、左手に持っておられる「鉄鉢」を触って下さい。つるつるになっていますよ。


 法輪寺は、常にお参りの人足は途絶えることがありません。十三まいりだけでなく、平安時代から続く「針供養」や、長寿を祈願し能の奉納も行われる「菊まつり」など、多くの参拝客、観光客でいっぱいになるそうです。
 当日はキュートなコートに身を包んだオレオと森永さん。木々に覆われた長い石段も、息を合わせてリズミカルに昇ります。森永さんはちょっと息を切らし気味でしたが...? お参りを済ませると、京都市内を一望できる見晴らし台で一呼吸。観光客で込み合うにぎやかな渡月橋を優雅に見下ろし、風景とここちよい風を味わうことができる贅沢な観光スポットです。嵐山に行かれたらぜひ足を延ばしてみて下さい。

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