公益財団法人　関西盲導犬協会

Ｑ：真夏でも外で訓練しているの？

Ａ：移動のために屋外を歩くことはありますが、基本的に炎天下の屋外で訓練することはありません。また、7月～9月にかけて、訓練担当職員は、就業開始時間を2時間早め朝6時に出勤する「サマータイム」を実施しています。これは、日が昇って暑くなる前に訓練を始められるようにするためのものです。

　そして日中は、ショッピングモール、京都市内の地下街やアーケード街などで訓練したり、電車や地下鉄など乗り物の乗降訓練の時間を長くとったりします。クーラーの効いた乗り物の中は、犬も人も、ちょっとひと息つける時間にもなっています。

Q:暑い時期の訓練で、気をつけていることは？

A：こまめな水分補給や休憩を入れるなど、クールダウンできる機会を多く作るようにしています。また、ひんやりした素材や直射日光を防ぐ素材のもの、保冷剤を入れるポケット付きのものなど、暑さ対策用コートを着せたり、保冷剤を入れたバンダナを首に巻いて訓練しています。

　屋内にいても熱中症が心配されるほどの暑さが続く日もあります。訓練中の犬たちが暮らしている木香テラスでは、温度計・湿度計を見ながら、クーラーや除湿をしています。ですから木香テラスは、当協会の中で一番居心地のいい場所になっています。

Q：盲導犬ユーザーはどうしているの？

A：訓練で行っているような暑さ対策の他、タクシーの利用や、日陰が多そうなルートを選ぶなどの工夫をしたりしています。ただ、盲導犬によっては、暑さ対策グッズを身に着けることが、かえって負担に感じる子もいます。ですから、盲導犬ユーザーは自分のパートナーである盲導犬の性格や状態を考え、どのような方法を取るのが良いかを判断しています。

　猛暑の中、多くの方が不要不急の外出を避けますが、それは盲導犬ユーザーも同様です。しかしながら、通勤や通院、外出先の都合など、どうしても移動時間が調整できない時もあります。なんらかの理由があっての外出であること、そしてそのためには十分な配慮をしていることをご理解いただければと思います。

Ｑ：夏の間も盲導犬はコートを着るの？

Ａ：盲導犬のコートは、抜け毛がなるべく落ちないように、また、犬の体を保護するため着せているものです。暑いのになぜ服を着せるのかと心配していただくこともありますが、服を着せることで直射日光を遮断し、体表面の温度上昇を防ぐ効果もあるのです。しかし、このように暑さが厳しくなってくると、多少コートで抜け毛が落ちるのをカバーできる部分が少なくなったとしても、Ｔシャツやタンクトップといったタイプのものを選ぶことも増えてきています。

　

Ｑ：夏の外歩きの時、犬は足の裏が熱くないの？

Ａ：直射日光を受けたアスファルトの路面や鉄板の温度は非常に高くなっており、気をつけないと犬が足の裏にやけどを負ってしまう可能性があります。そのようなことを防ぎ、足の裏を保護するため、夏場は「犬用の靴」を履かせて訓練しています。

　これまでは盲導犬の靴はユーザーが購入していましたが、今夏は、全ユーザーに盲導犬用の靴を支給しました。

Ｑ：犬は靴を履くことをいやがらないの？

Ａ：たしかに初めて靴を履かせた時は、もじもじして、歩きにくそうする子が多いです。靴を履いた時の反応はさまざまなので、いろいろな対処方法がありますが、基本的には、訓練犬を楽しませ、「あれ、知らない間に慣れちゃった」と思わせることがポイントです。

　ですから、まずは靴を履かせて引っ張りっこやボール遊びなど、その犬が大好きな遊びで夢中にさせます。そうすると、靴を履いた状態にだんだん慣れていきます。最初はぎこちない歩きをしていた訓練犬も、何回か訓練で靴を履いていると、やがて慣れてスムーズに歩けるようになります。

　最初のうちは、「これは苦手だなぁ」と思っていたことも、その課題をクリアすることで、犬たちも自信をつけていきます。特に、人と一緒に苦手と思ったことができるようになると、「できたぁー！　ねぇ～、見て見て！」とまるで逆上がりができて喜んでいる子どものような表情をする犬もいます。苦手なことでも、できたときの嬉しい気持ちは、人も犬も同じようですね。

☆靴を履くという新しい課題に取り組んでいる様子を当協会YouTubeにアップしています。記事と合わせてご覧ください。

関西盲導犬協会YouTube　　　

『初めて靴を履いてみた part2～ちょっとずつ靴に慣れていくラブラドール～』

　通常版　https://youtu.be/CIhzWuZNmYY

　音声版　https://youtu.be/NVXXd58c0d0