季刊誌「ハーネス通信」
2012年01月のバックナンバー
- 補助犬法施行10年を迎えて
「身体障害者補助犬法」が施行され、今年で10年目を迎えます。この節目の年を迎えるにあたり、「身体障害者補助犬法」とはどんな法律なのか、もう一度考えてみたいと思います。
Q:いつ できたの?
A:2002(平成14)年、第154回国会において全会一致で可決され成立、10月1日から施行されました。Q:なんのために できたの?
A:身体障害者補助犬の育成や、身体障害者補助犬ユーザーの施設などの利用がスムーズに行われ、身体障がい者の自立や社会参加の促進に役立つことを目的に制定されました。Q:どんなことを 決めているの?
A:
☆受け入れ義務
国立大学や国立博物館、役所や郵便局など、国や地方公共団体等が管理している施設・バスや電車、飛行機、船、タクシー等の公共交通機関やこれらの事業者が管理する施設・ホテルやデパート、レストランなど不特定かつ多数の人が利用する施設、従業員56名以上の事業所では、身体障害者補助犬の受け入れを拒否してはいけません。
☆都道府県・政令指定都市・中核市のしなくてはならないこと
補助犬ユーザーや受け入れ側施設の管理者、事業者からの相談・苦情を受け、助言や指導、必要に応じて補助犬育成団体等に対して資料の送付、情報の提供、その他の協力を求めるなどの機能をもった相談窓口を設置しなければなりません。
☆補助犬訓練事業者のしなくてはならないこと
身体障害者補助犬としての適性を有する犬を選択すること、医師、獣医師等と連携しながら、補助犬を使用しようとする障がい者の状況に応じた訓練を行うことにより、良質な身体障害者補助犬を育成しなければなりません。
☆補助犬ユーザーのしなくてはならないこと
補助犬が他人に迷惑を及ぼすことがないよう、その行動を十分管理しなければなりません。また、補助犬を清潔に保つとともに、予防接種及び検診を受けさせることにより、公衆衛生上の危害を生じさせないよう努めなければなりません。
☆国民のしなくてはならないこと
身体障害者補助犬を使用する身体障がい者に対し、必要な協力をするよう務めなければなりません。Q:できて 何が変わったの?
A:盲導犬との生活が始まり、「出かけたい時に、出かけたいところに、安全に出かけられるようになった」という盲導犬ユーザーの声をよく聞きます。しかし、出かけた先で盲導犬の同伴を断られてしまったら、盲導犬がいても行動範囲が拡がったことにはならないでしょう。
誰もが当たり前に出かけられるところは、そこが飲食店であれ、病院であれ、盲導犬ユーザーも当たり前にでかけ、利用したい。「身体障害者補助犬法」は、それを保障する大切な法律です。この法律を本当に効果のあるものにするために、市民一人ひとりのご理解とご協力をよろしくお願いいたします。